居合とは心に克つが居合なり 人にさかふはひがたなと知れ
居合とは人に斬られず人斬らず 己をせめて平らかの道
上手とは外をけなさず自慢せず 身の及ばぬを恥じる人なり
居合道の意義
居合とは、剣道の抜刀後の立合に対して居合(抜刀前の心構えと抜刀の瞬間に敵を制する刀法)との意であり、敵の不意の襲撃という危難に際して直ちにこれに応じ、先または後の先の鞘放れの一刀により勝ちを制する必要上創案された刀法であり、座して居る時、歩行する時、その他あらゆる時とところに於ける正しい刀法と身体の運用を練磨することを通じて、己の心を治める道である。
居合道の目的
居合道修練の目的は、真剣を以って定められた武技を通じて、身体を練磨し、技術の練達を図り、礼譲慈愛に富む質実剛健な精神を養い、国家社会に貢献出来る人間を育成することにある。即ち武道を通じての人生修養である。
居合道の要諦
居合道の修養は、単に真剣により敵を斬突することを目的とするものではなく、鍛錬を通じて些かも弛みのない気魄を養うこと、すなわち臍下丹田に気力が充実し、一切の動作が円熟し、天地正大の気自ずから生じる気位に到達するところにあると言えよう。臨機応変、融通無碍さらには人知を超えた霊力を得る、換言すれば、居合道は、一剣技ではなく自己の生命と身体の存在意義、更には自己と社会の関わり方、あるべき姿をも究明する養心処世の大道であり、これこそが日本武道の根源であろう。
居合の流派と流祖およびその時代
流派 | 流祖 | 時代 |
林崎夢想流 | 林崎甚助源重信 | 室町 |
白耆流 | 片山白耆守久安 | 江戸 |
田宮流 | 田宮平兵衛業正 | 江戸 |
無楽流 | 長野無楽入道槿露齋 | 江戸 |
関口流 | 関口八郎右衛門氏心 | 江戸 |
水鷗流 | 三間与一郎左衛門景延 | 江戸 |
水田宮流 | 和田平助正勝 | 江戸 |
無雙直傳英信流 | 長谷川主税助英信 | 江戸 |
無外流 | 辻月旦無外 | 江戸 |
北辰神櫻流 | 篠田櫻峰正康 | 明治 |
夢想神伝流 | 中山博道 | 昭和 |